家族のことを考えて、相続について学ぶ

裁判所

相続の基本について

相続の問題は最も生前整理で重視したい項目です。

遺産相続は遺された資産の大小にかかわらず親族間で大きな争いになりやすく、それまでは比較的仲良くやってきたはずの親類同士が、相続の発生を期に絶縁状態になってしまうということもあります。

生前整理として遺産相続についての遺言書作成をすすめると、中には「うちには残せるような財産もほとんどないんで大丈夫ですよ」といった意見を言われる人もいます。

ですが相続がもとで家庭裁判所の審判が必要になるほどこじれる事例の大半は相続財産が100~300万円程度の家庭であるというデータがあります。

また相続というとプラスとなる資産ばかりをイメージしますが、例えば未払い分のローンがあったり自営業をしていたときに自宅や土地が担保になっていたような場合などにはその負債分も相続の対象になります。

ですのでまずは現在自分名義になっている財産や不動産がどのくらいあり、それを分配するにはどういった方法があるかといったことから整理をしておく必要があります。

相続財産の基本的な分配方法

相続のトラブルを避けるためにはまず最初に日本の法律における相続について知っておく必要があります。

日本における相続の法律は民法で規定されています。

相続分配は被相続人が亡くなった時点での遺族は誰であるかによって変わるようになっており、基本的には配偶者と子供、それに直系尊属と兄弟姉妹までが法定相続人となっています。

このうち常に相続人となるのは配偶者である夫または妻であり、子供を残して亡くなった場合には配偶者が1/2で残りの1/2を子供の人数によって等分します(子供が3人いる場合は1/6ずつ)。

子供がいないうちに亡くなったというときには配偶者と直系尊属が、配偶者も子供もいない場合には直系尊属と兄弟姉妹が相続人になります。

この割合は遺言書によって変更をすることが可能となっていますが、例えば極端に「妻だけに全額を残す」や「子供ひとりに全額を残す」といった方法を指示しているときには、その他の相続人は異議申し立てをすることができます。

異議申し立てをした場合には遺留分減殺請求権をもとに相続財産の分配を求めることができるようになっており、その場合には法定相続分の1/2までが請求できることとなります。

遺産はきっちり分配できるわけでない

ここで注意をしておきたいのが、どれほどの資産がある家庭であってもそうした分配割合きっちりに分けるということはまず絶対にできないということです。

というのも相続の対象になるのは銀行に預けてある現金だけでなく、家や土地などの不動産、また株や国債のような証券も含まれてくるからです。

ですので遺言書で確実に遺産分割を行うことを考えるなら、そうした金額に換算した場合の不平等を解消できるような代替策をとっておくかもしくは生前に別の形で財産を分けるといった手段をとっておかないといけません。

遺産分割についてはこれまで数多くの事例が蓄積されてきているので、もし争いが起こる可能性があるときには詳しい専門の弁護士などに聞いておくというのが確実です。